Linux Mint NASを自動マウントし アプリの「フォルダー一覧」にNASを表示する

低スペック PC 活用ノウハウ
Linux Mint (Cinnamon) の使い方 その-19
アプリの「フォルダー一覧」にNASを表示する
 
Linux Mintで NAS を fstab で自動マウントしても、アプリ(例えば、テキストエディタ Xed)の「フォルダー一覧」にNASのドライブが表示されない。しかし、一度 ファイルマネージャーの Nemo で NAS を開くと、「フォルダー一覧」にNASが表示されるようになる。
 
これで、各種アプリからNASのファイルに直接アクセスできるようになる
 
以下、Linux Mint を起動後、ファイルマネージャーの Nemo で、NASにアクセスすることなく、各アプリを開いた時点でNASのドライブが表示され、アプリから直接NASのファイルにアクセスが可能になる解決策をまとめた。
 
 

 

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1. fstab による NASの自動マウント要領
 
端末(ターミナル)を開き、次の設定を行うことで、NASが自動的にマウントされるようになる。
 
①.マウントポイントの作成。
sudo mkdir /mnt/nas
 
マウントポイントの作成
 
②.コマンドを手動で実行して、設定が正しいかを確認する。
sudo mount -t cifs -o "username=xxxxxx,password=yyyyyyyy,uid=1000,gid=1000,iocharset=utf8,vers=2.0" //<NASサーバー名>.local/home /mnt/nas
 
コマンドを手動で実行して、設定が正しいかを確認する
 
成功していれば、/mnt/nas ディレクトリ内に NAS の共有フォルダが表示される。
ls -la /mnt/nas
 
成功していれば、/mnt/nas ディレクトリ内に NAS の共有フォルダが表示される
 
 
③./etc/fstab を編集し、NASを自動的にマウントする設定を行う。
sudo nano /etc/fstab
 
次の内容を追記する。
# NAS 自動マウント設定
//<NASサーバー名>.local/home /mnt/nas cifs credentials=/home/mint/.smbcredentials,uid=1000,gid=1000,iocharset=utf8,vers=2.0,_netdev 0 0
 
/etc/fstab を編集し、自動的にマウントする設定を行う
 
password に記号が含まれている為、認証情報をファイル化する。
sudo nano /home/mint/.smbcredentials
 
次の内容を追記する。
username=xxxxxx
password=yyyyyyyyyy
 
password に記号が含まれている為、認証情報をファイル化する
 
ファイルのパーミッションを設定する。
sudo chmod 600 ~/.smbcredentials
 
ファイルのパーミッションを設定する
 
 
以上で、再起動後もNASフォルダが自動的にマウントされるようになる。
 
 
 
2. fstab による NASの自動マウントの問題点
 
①.再起動後、/mnt/nas ディレクトリ内に NAS の共有フォルダが表示されるので、自動マウントは成功している。
しかしながら、この状態でアプリを起動し「ファイル」タブを開いても、NASのドライブは表示されない
 
例:テキストエディタ Xed を起動し、「ファイル」から「開く」をクリックする。
例:テキストエディタ Xed を起動し、「ファイル」から「開く」をクリックする
 
「ファイル開く」画面が表示され、サイドバーにフォルダー一覧が表示されるが、この中にNASのドライブは見当たらない。
「ファイル開く」画面が表示され、サイドバーにフォルダー一覧が表示されるが、この中にNASのドライブは表示されない
 
※:ここで「+他の場所」をクリックすると、「NAS(ファイル共有)」が表示されるが、 ・・・ 後述。
 
②.ファイルマネージャーのNemoを開き、「NAS(ファイル共有)」をクリックしてNAS内の「home」ディレクトリーを開くと、サイドバーの「ネットワーク」の中にNASがマウントされ、且つ、デスクトップにもNASの「home」アイコンが表示される。
 
ファイルマネージャーNemoを開き、「ネットワーク」から「NAS(ファイル共有)」をクリックする。
ファイルマネージャーNemoを開き、「ネットワーク」から「NAS(ファイル共有)」をクリックする
 
NASのフォルダーが表示されるので、「home」をクリックする。
NASのフォルダーが表示されるので、「home」をクリックする
 
NASの「home」フォルダーが展開されると同時に、デスクトップの左上に「NASのhome」アイコンが表示される。
NASの「home」フォルダーが展開されると同時に、デスクトップの左上に「NASのhome」アイコンが表示される
 
 
③.この状態にして、アプリ(例えば、テキストエディタ Xed)を起動し「ファイル」タブを開くと、NASのドライブが表示され、NASへのアクセスが可能になる。
 
テキストエディタ Xed を起動し、「ファイル」から「開く」をクリックすると、サイドバーにフォルダー一覧が表示され、この中にNASのドライブが表示される。
テキストエディタ Xed を起動し、「ファイル」から「開く」をクリックすると、サイドバーにフォルダー一覧が表示され、この中にNASのドライブが表示される
 
NASのドライブをクリックすると、「home」フォルダーの内容が表示され、「テキストエディタ Xed」でNASのファイルに直接アクセスできるようになる。
NASのドライブをクリックすると、「home」フォルダーの内容が表示され、「テキストエディタ Xed」でNASのファイルに直接アクセスできるようになる
 
 
問題点:
• fstab で自動マウントされているのに、XedなどのGTKアプリの「開く」ダイアログにNASが表示されない。
• 一度 Nemo でNASを開くと表示されるようになる。
 
 
原因:
• fstab でマウントした CIFS は システムレベルのマウント。
• Nemo や GTK の「ファイルを開く」ダイアログが表示するのは GVfs (GIO仮想ファイルシステム) に登録されたリモートリソース。
• Nemoで「NAS(ファイル共有)」をクリックした瞬間に GVfs が CIFS を認識 → サイドバーに表示される。
つまり fstab のマウントだけでは GVfs が認識しないため、アプリからは見えない
 
 
 
3. 解決策
 
Nemoを開かないとNASが出ない問題:
→ Nemoを開くことで初めてGVfsがリモートをマウントするため。
→ 対策として gio mount を自動実行すれば、Nemoを開かずに表示可能。
 
 
①.GVfs 自体にNASを登録する。
 
gvfs-mount を利用して、GVfs にNASを登録する。
gio mount smb://<NASサーバー名>.local/home
 
gvfs-mount を利用して、GVfs にNASを登録する
 
 
②.このコマンドを、起動時に自動実行する。
 
~/.config/autostart/mount-nas.desktop を作成。
sudo nano ~/.config/autostart/mount-nas.desktop
 
次の内容を追記する。
[Desktop Entry]
Type=Application
Exec=gio mount smb://<NASサーバー名>.local/home
Hidden=false
NoDisplay=false
X-GNOME-Autostart-enabled=true
Name=Mount NAS
コマンドを、起動時に自動実行する
 
 
③.fstabをやめて gio mount に統一する
fstab でマウントしていると、gio mount が重複エラーになることがある。
 
fstab での NAS 自動マウント設定を削除する。(例では、コメントアウト。)
fstab での NAS 自動マウント設定を削除する
 
これで再起動しても、ログイン時に GVfs が NAS を自動的に認識する。
 
Linux Mint を起動すると、ログイン直後からデスクトップの左上に「NASのhome」アイコンが表示される。
Linux Mint を起動すると、ログイン直後からデスクトップの左上に「NASのhome」アイコンが表示される
 
各種アプリを起動し、「ファイル」タブから「開く」をクリックすると、・・・。
各種アプリを起動し、「ファイル」タブから「開く」で表示されるサイドバーのフォルダー一覧にNASが表示される
 
サイドバーのフォルダー一覧にNASが表示される。
各種アプリを起動し、「ファイル」タブから「開く」で表示されるサイドバーのフォルダー一覧にNASが表示される
 
これで、各種アプリからNASのファイルに直接アクセスできるようになる。
これで、各種アプリからNASのファイルに直接アクセスできるようになる
 
■ fstab (CIFS) と GVfs (gio mount) の違い ■
fstab (CIFS) と GVfs (gio mount) の違い
 
 
 
4. Linux Mint における NAS のマウント方法と永続性
 
Linux Mint における NAS のマウント方法は、大きく分けて
 ● GVfs / gio を使ったユーザーレベルのマウント
 ● CIFS (カーネルレベルのマウント) を使ったシステムレベルのマウント
の 2 系統に分かれます。
 
 
■ 方法1:ファイル → ネットワーク → NASをクリック
 
ファイルマネージャーNemoのサイドバーに表示されている「ネットワーク」をクリックするすると、LAN上に接続されている機器(プリンターやNAS)が自動で表示されるので、この中から「NAS(ファイル共有)」をクリックする。
「ファイルシステム」をクリックするすると、
 
NASの認証情報を入力し、「接続する」をクリックする。
NASの認証情報を入力し、「接続する」をクリックする
 
NAS内のファイルが表示されるので、「home」ディレクトリーをクリックする。
NAS内のファイルが表示されるので、開きたいディレクトリーをクリックする
 
「home」ディレクトリーの内容が展開されると同時に、デスクトップにもアイコンが表示される。
サイドバーの「ネットワーク」の中にNASがマウントされ、デスクトップにもアイコンが表示される
 
実際のマウント方式:
• GVfs (GNOME Virtual file system) によるマウント。
• 背後で gio mount が実行されている。
 
特徴:
• ユーザー単位のマウント。
 /run/user/<UID>/gvfs/ に NAS がマウントされる。
• セッション依存。
 再起動すると自動では再マウントされない
• FUSE を介してアクセス
 カーネルの CIFS モジュールは使わず、GVfs が SMB クライアントとして動く。
アプリから透過的に利用可能
 Nemo や Xed など GTK ベースのアプリは、この仮想ファイルシステムを認識できる。
 
 
■ 方法2:Nemo → サーバーに接続 → Windows共有
 
ファイルマネージャーNemoを開き、「ファイル」から「サーバーに接続」をクリックする。
ファイルマネージャーNemoを開き、「ファイル」から「サーバーに接続」をクリックする
 
「サーバーに接続」画面が開くので、
サイバー:NASのIPアドレスを入力
種類:Windows 共有を選択
ユーザー名:NASのユーザー名
パスワード:NASへの接続パスワード
を入力し、「接続」をクリックする。
「サーバーに接続」画面が開くので、
サイバー:NASのIPアドレスを入力
種類:Windows 共有を選択
ユーザー名:NASのユーザー名
パスワード:NASへの接続パスワード
を入力し、「接続」をクリックする
 
「IPアドレス上の Windows 共有」画面がが開き、NASのフォルダーが表示されるので、「home」をクリックする。(以下の手順は他に同じ。)
「IPアドレス上の Windows 共有」画面がが開き、NASのフォルダーが表示されるので、「home」をクリックする
 
実際のマウント方式:
• こちらも GVfs / gio mount を使う。
• 入力した IP アドレスから SMB (smb://) で接続し、GVfs がマウント処理。
 
特徴:
• マウントポイントは方法1と同じく /run/user/<UID>/gvfs/。
• GUI で IP を直接指定できるので、NAS がネットワーク一覧に出ない場合でも接続可能。
• 認証情報は GNOME Keyring に保存可能。
 
 
■ 方法3:fstab や mount.cifs を使ったマウント
 
実際のマウント方式:
• CIFS (Common Internet File System)。
• Linux カーネルの cifs モジュールを使って直接マウント。
• 例:mount -t cifs //nas.local/home /mnt/nas -o credentials=...。
 
特徴:
• システム全体で有効。
 /mnt/nas のように任意のディレクトリにマウント。
 root 権限が必要。
再起動後も有効(fstabに設定すれば自動マウント)。
• 高速かつ安定(カーネルが直接 SMB プロトコルを処理するため)。
デメリット: GUI の「ネットワーク」一覧には表示されない
 
 
Linux Mint における NAS のマウント方式の比較。
Linux Mint における NAS のマウント方式の比較
 
 
 
5. GVfs(ジーブイ・ファイルシステム)とは
 
🔹 GVfs の概要:
 正式名称: GNOME Virtual File System
 位置づけ: GTK/GNOME アプリ用の「拡張ファイルシステム」
 実体: GIO ライブラリの上に構築されたユーザー空間のファイルシステム
 
🔹 役割:
 • Samba (SMB/CIFS)、FTP、SFTP、WebDAV、Google Drive など、リモートリソースを統一的に扱う。
 • アプリケーションがファイル操作を意識せずに使えるようにする。
 • GNOME / Cinnamon の「ファイルを開く」ダイアログや Nemo/Files のサイドバーに表示する。
 
🔹 主なコマンド
 • マウント
  gio mount smb://onjinas.local/home
 • アンマウント
  gio mount -u smb://onjinas.local/home
 • 接続済みのリストを表示
  gio mount -l
 • 実体の場所を確認
  ls /run/user/$UID/gvfs/
 
🔹 Linux Mint での使われ方
 • Nemo ファイルマネージャー
  ネットワークを開いた時、GVfsを使って SMB/FTP/SFTP をマウント。
 • アプリの「ファイルを開く」ダイアログ
  GVfs の情報を読み取って、NASやGoogle Driveをサイドバーに表示。
 

 

以上。
(2025.08.03)

 

 

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