Linux Mint で ONLYOFFICE を使う:MS Officeとの高い互換性が魅力

低スペック PC 活用ノウハウ
Linux Mint (Cinnamon) の使い方 その-11
ONLYOFFICE を使う
 
Linuxでのオフィスアプリは、「LibreOffice」や「WPS Office」を使ってきたが、イマイチ馴染めないでいたところ、ラトビアが発祥の「ONLYOFFICE」というオフィススイートがあることを知った。
 
豊富な機能
 
ONLYOFFICEをインストールしてみると、インターフェイスとファイルフォーマットが Microsoft Officeに酷似しており、xlsxやpptxも問題なく表示されるので、Windows PC と Linux での相互運用性が高まりそうだ。
 
 

 

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1. ONLYOFFICE とは
 

 ONLYOFFICE(オウンリーオフィス) は、
Word・Excel・PowerPoint に相当する機能を持つオープンソースのオフィススイートです。

主な特徴:
●高いMS Office互換性:ファイルを開いた際のレイアウト崩れが非常に少ない。
●モダンで直感的なUI:MS Officeによく似たタブ形式のインターフェースで、直感的に操作できます。
●無償で利用可能:デスクトップ版は個人利用・商用利用を問わず完全に無料で利用できます。
●クロスプラットフォーム:Linux、Windows、macOSのほか、iOSやAndroidのモバイルアプリも提供されています。
●豊富な機能:文書作成、表計算、プレゼンテーション作成に加え、PDFの閲覧・注釈付け、フォーム作成機能も備えています。

 
 
豊富な機能。
豊富な機能
 
クロスプラットフォーム。
クロスプラットフォーム
 
 

 ONLYOFFICE Desktop Editorsは、
Windows、Linux、macOSで利用できる無料のオフィススイートです。
テキスト文書、スプレッドシート、プレゼンテーション、記入可能なフォーム、PDFファイルを編集できます。
また、ONLYOFFICEや他のクラウドサービスと連携して共同編集も可能です。

ONLYOFFICE の公式サイト
 
 
 
2. Linux Mintでのインストール要領
 
ソフトウェアマネージャーを立ち上げ、「ONLYOFFICE」で検索すると、ONLYOFFICE Desktop Editors が見つかるので、これをクリックする。
ソフトウェアマネージャーを立ち上げ、「ONLYOFFICE」で検索すると、ONLYOFFICE Desktop Editors が見つかるので、これをクリックする
 
ONLYOFFICE Desktop Editors が表示されるので「インストール」クリックする。バージョンは 9.0.0 で、最新。
ONLYOFFICE Desktop Editors が表示されるので「インストール」クリックする
 
追加で必要となるソフトウェアの一覧が表示されるので「続行」をクリックする。
追加で必要となるソフトウェアの一覧が表示されるので「続行」をクリックする
 
インストールが完了すると「起動」ボタンと「削除」ボタンが表示され、「起動」をクリックすると「ONLYOFFICE」が立ち上がる。
インストールが完了すると「起動」ボタンと「削除」ボタンが表示され、「起動」をクリックするとアプリが立ち上がる
 
「ONLYOFFICE」の初期画面。画面に直接ファイルをドラッグすると、自動で開く。
「ONLYOFFICE」の初期画面。ファイルをドラッグすると、自動で開く。
 
「PPTX」を開いた画面。
「PPTX」を開いた画面
 
左下の「メニュー」から「オフィス」を開くと、「ONLYOFFICE」のアイコンが追加されているので、ここから起動出来る。
左下隅の「メニュー」から「オフィス」を開くと、「ONLYOFFICE」のアイコンが追加されているので、ここから起動する
 
 
 
3. フォントの追加で文字崩れを解消
 
WindowsのPowerPointで作成した「PPTX」ファイルを開いてみると、一部で文字が崩れている。
WindowsのPowerPointで作成した「PPTX」ファイルを開いてみると、一部で文字が崩れている
 
フォントに「Meiryo UI」が使われており、Linux Mintには「Meiryo UI」フォントがインストールされていないのが原因である。
フォントに「Meiryo UI」がつかわれており、Linux Mintには「Meiryo UI」フォントがインストールされていない為である
 
同様に、WindowsのExcelで作成した「XLSX」ファイルを開いても、一部で文字が崩れている。
同様に、WindowsのExcelで作成した「XLSX」ファイルを開いても、一部で文字が崩れている
 
Linux Mint に Meiryo UI フォントを追加する。(/usr/share/fonts にフォントを配置)
Linux Mint に Meiryo UI フォントを追加する。(/usr/share/fonts にフォントを配置)
 
参考:
 
PowerPointでの文字崩れが解消する。
PowerPointでの文字崩れが解消する
 
同様に、Excelでの文字崩れも解消する。
同様に、Excelでの文字崩れも解消する
 
 
 
4. Microsoft Office との互換性
 
 

 高い互換性の理由
ONLYOFFICEは内部的にMS Officeと同じ**Office Open XML (OOXML)**形式(.docx, .xlsx, .pptx)を標準として扱います。LibreOfficeなどが採用するOpenDocument Format (ODF)から変換するプロセスがないため、情報の欠落やレイアウトの崩れが原理的に起こりにくいのです。

 
 
①.文書作成 (Word/DOCX):
● テキストの書式、段落スタイル、画像の配置、表、ヘッダー/フッターなど、ほとんどの要素が忠実に再現されます。
● 変更履歴やコメント機能もMS Wordと遜色なく利用でき、共同作業もスムーズです。
 
②.表計算 (Excel/XLSX):
● 基本的な数式や関数は問題なく動作します。
● グラフや条件付き書式、ピボットテーブルといった高度な機能も高い再現性を誇ります。
ただし、VBAで作成された複雑なマクロは動作しないか、互換性の問題が発生する可能性があります。これは、ONLYOFFICEがJavaScriptベースのマクロを採用しているためです
 
③.プレゼンテーション (PowerPoint/PPTX):
● テキスト、図形、画像のレイアウトは非常に正確に再現されます。
● 画面切り替え効果(トランジション)やアニメーションも、一般的なものであれば問題なく表示・編集できます。一部の特殊な効果は再現されない場合があります。
 
■ 互換性の限界
● 完璧な互換性を謳うのは難しいのも事実です。特に、以下のようなケースでは問題が発生する可能性があります。
● 複雑なVBAマクロ: Excelの自動化などで多用されるVBAマクロは、基本的に互換性がありません。
● 特殊なフォント: Windowsに標準搭載されているがLinuxにはないフォント(例: MS Pゴシック、游ゴシック)が使われている場合、代替フォントで表示されるため、見た目が変わることがあります。(これはフォントを別途インストールすることで解決可能です)
● 一部の高度な機能: WordのSmartArtの一部や、PowerPointの特殊なアニメーション効果などは、完全に再現されないことがあります。
 
 
4-1. 発生した互換性の問題
 
①.Microsoft Excel で設定した列幅(Column Width)や行の高さ(Row Height)が、ONLYOFFICE Spreadsheet Editor で開くとデフォルト幅に戻る。
 
表やグラフと組み合わされたセルでの列幅が不正確に表示される。
 
②.Excel では .xlsx ファイルを保存する際に、**最後に表示されていたセルの位置(アクティブセル・スクロール位置)**の情報が .xlsx に含まれます。 しかし、ONLYOFFICE Spreadsheet Editor でそのファイルを開くと、 必ずシートの先頭(A1セル)から開く。
 
📌 Linux Mint 上の ONLYOFFICE には、「最後に作業したセルを記憶」する機能は備わっておらず、「保存したセル・行位置で再開する」ことはできない。
 
✅ 簡単な逃げ道。
 .xlsx ファイルを開くと、名前ボックスに前回保存時のセル番地が表示されるので、ここで「Enter」キーを押す。
 .xlsx ファイルを開くと、名前ボックスに前回保存時のセル番地が表示されるので、ここで「Enter」キーを押す
 
「最後に作業したセル番地」にジャンプしてくれるので、ここからスクロールして作業を継続することが出来る。
「最後に作業したセル番地」にジャンプしてくれるので、ここからスクロールして作業を継続することが出来る
 
 
4-2. 形式を指定して貼り付ける方法
 
①.コピーする。
 
②.貼り付けを実行すると、貼り付けオプションを示すアイコンが表示される。
 
③.このボタンをクリックすると、「形式を選択して貼り付け」と同じ操作が行える。
 
このボタンをクリックすると、「形式を選択して貼り付け」と同じ操作が行える
 
 
 
5. LibreOffice との比較における ONLYOFFICE の優位点
 
LibreOffice との比較における ONLYOFFICE の優位点
 
ONLYOFFICE の優位点 詳細
 
①. Microsoft Office との互換性が高い:
● 編集・保存時に再変換が不要。書式のズレが少ない。
● SmartArt、図形、グラフ、段落スタイルなどの再現性が高い ビジネス資料のレイアウトが崩れにくい。
 
②. インターフェースがわかりやすい:
● Microsoft Office のリボン型UIをほぼ再現
● Windowsユーザーの移行がスムーズ。
● 日本語翻訳も比較的自然(LibreOfficeはメニュー項目にクセあり)
 
③. ファイルの外観が「そのまま」保たれる:
● フォント・段落・表・罫線・背景画像など、視覚的な整合性が非常に高い。
● レイアウトの崩れに悩まされることが少ない。
 
④. クラウドとの連携がしやすい:
● Nextcloud や ONLYOFFICE Workspace との統合でWebベース共同編集も可能。
● Google Drive、Dropbox、OneDriveとの連携機能もあり。
 
⑤. 商用利用でも安心:
● オープンソース版でも商用利用可能。
 
■ 注意点と制限:
● マクロやVBAには対応していない。
● 旧形式(DOC / XLS / PPT)ファイルの再現性は完全ではない。
 
 
結論
Microsoft Office のファイルを頻繁にやり取りするなら ONLYOFFICE を選択すべし。
 
 
 
6. ONLYOFFICE で NAS にあるドキュメントへのアクセス
 
Linux Mint における NAS のマウント方法。
Linux Mint における NAS のマウント方式の比較
 
NAS のマウント方法は、大きく分けて
 ● GVfs / gio を使ったユーザーレベルのマウント
 ● CIFS (カーネルレベルのマウント) を使ったシステムレベルのマウント
の 2 系統に分かれる。
 
fstab (CIFS) 方式 と GVfs (gio mount) 方式 の違い 。
fstab (CIFS) と GVfs (gio mount) の違い
 
GVfs (gio mount) 方式でマウントすると、サイドバーにNASが表示されるので便利であるが ・・・ ONLYOFFICE デスクトップ版は GVfs に未対応
 
 
Linux Mint で Synology NAS にあるドキュメントを ONLYOFFICE で、開くことは出来るが、修正した結果を上書き保存することは出来ない。
 
 
gvfs の仕組みでは、アプリ側が「GVfs API」に対応していればファイルを直接読み書きできる。
 
しかし ONLYOFFICE デスクトップ版は GVfs に未対応 なので、NAS 上のファイルを「一時コピー」として開いてしまい、上書き保存することは出来ない。
 
✅ 解決策 → CIFS でマウントする
CIFS でマウントした /mnt/nas/ドキュメント.xxxx を ONLYOFFICE で開く → 「直接上書き保存」が可能となる。
 
 
NASの CIFS でのマウント要領
 
マウントポイントの作成。
sudo mkdir -p /mnt/nas
 
マウントポイントの作成
 
cifs-utils のインストール。
sudo apt install cifs-utils
 
cifs-utils のインストール
 
コマンドを手動で実行して、設定が正しいかを確認する。
sudo mount -t cifs -o "username=nnnnnn,password=pppppppp,uid=1000,gid=1000,iocharset=utf8,vers=2.0" //<NASサーバー名>.local/home /mnt/nas
 
ls -la /mnt/nas
成功していれば、/mnt/nas ディレクトリ内に NAS の共有フォルダが表示される。
 
コマンドを手動で実行して、設定が正しいかを確認する
 
ポイント:SMB プロトコルのバージョン「vers=2.0」を指定しないとうまくいかない。
 
/etc/fstab の編集。
sudo nano /etc/fstab
# NAS 自動マウント設定
//<NASサーバー名>.local/home /mnt/nas cifs credentials=/home/mint/.smbcredentials,uid=1000,gid=1000,iocharset=utf8,vers=2.0,_netdev 0 0
/etc/fstab の編集
 
ポイント1:「.smbcredentials」は、認証情報をファイルで指定。
ポイント2:SMB プロトコルのバージョン「vers=2.0」を指定。
 
password に記号が含まれている為、認証情報をファイル化する。
sudo nano /home/mint/.smbcredentials
username=xxxxxx
password=yyyyyyyyyy
password に記号が含まれている為、認証情報をファイル化する
 
ファイルのパーミッションを設定する。
sudo chmod 600 ~/.smbcredentials
 
ファイルのパーミッションを設定する
 
再起動後、うまくいっていれば、/mnt/nas ディレクトリ内に NAS の共有フォルダが表示される。
再起動後、うまくいっていれば、/mnt/nas ディレクトリ内に NAS の共有フォルダが表示される
 
 
以降、
ディレクトリ「/mnt/nas」にある ドキュメント.xxxx にアクセスする。
ONLYOFFICE で開き → 編集 → 直接上書き保存
がOKになる。
 
ディレクトリ 「/mnt/nas」にマウントされたフォルダーから、ファイルを選択して ONLYOFFICE でアクセスする。
ディレクトリ 「/mnt/nas」にマウントされたフォルダーから、ファイルを選択してONLYOFFICE でアクセスする
 
 

 

以上。
(2025.07.07)

 

 

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