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Ubuntuで NASにある Excelファイル を起動する「ショートカットアイコン」の作り方

Ubuntu Desktop 22.04 LTS ノウハウ
NASにある Excelファイル を起動する
「ショートカットアイコン」の作り方
 
Ubuntu PC と Windows PC を併用している場合、NASを介してファイル共有を行うと「ファイルの一元化」が図れ何かと便利である。中でも、Windows PC で作成した Microsoft Office のファイルが Ubuntu PC の WPS Office で扱えれば相互運用性と利便性が飛躍的に高まる。
 
デスクトップにショートカットが作成されるので、右クリックして「起動を許可する」
 
以下、Ubuntuのデスクトップに、NASにある Excelファイルを WPS の Spreadsheets で起動する「ショートカットアイコン」を作った記録。
 
 

 

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参考:
 
 
 
1. デスクトップに「ショートカットアイコン」を作るには
 
テキストエディタ「nano」で、デスクトップに「~/Desktop/xxxxx.desktop」を作成する。
nano ~/Desktop/xxxxx.desktop
 
「xxxxx.desktop」ファイルを「デスクトップエントリ」と言う。
 
「デスクトップエントリ」の例。
[Desktop Entry]
Version=1.0
Type=Application
Name=ショートカットアイコン名
Exec=アイコンをクリックしたときに実行されるコマンドを指定
Icon=アイコンを指定
Terminal=false
 
Name:デスクトップのアイコンに設定される名前。
アイコンに付けられる名前は、テキストエディタで作成した「~/Desktop/xxxxx.desktop」の「xxxxx」ではなく、ここで指定した名前になる。
 
Exec:WPS Office の WPS Spreadsheet を指定した例。
Exec=et "/絶対パス/ファイル名.xlsx"
 
Icon:WPS Office の xls アイコンを指定した例。
Icon=/usr/share/icons/hicolor/256x256/mimetypes/wps-office-xls.png
 
 
 
2. Exec= で指定するコマンドについて
 
WPS Office のコマンド例:
Exec=wps /path/to/your/file.docx
 
wps に続けて対象ファイルのフルパスを指定する。
wps は、WPS Office の一部であり、通常は WPS Writer(Microsoft Word に相当するアプリケーション)を起動するためのコマンド。
 
コマンド説明
wpsWPS Writer(文書作成ソフト)
etWPS Spreadsheet(表計算ソフト)
wppWPS Presentation(プレゼンテーションソフト)
 
LibreOffice のコマンド例:
Exec=libreoffice --calc /path/to/your/spreadsheet.ods
 
コマンド説明
libreofficeLibreOffice スイート全体の起動
libreoffice --writerWriter(文書作成ソフト)の起動
libreoffice --calcCalc(表計算ソフト)の起動
libreoffice --impressImpress(プレゼンテーション)の起動
libreoffice --drawDraw(図形描画ソフト)の起動
libreoffice --baseBase(データベースソフト)の起動
libreoffice --mathMath(数式作成ソフト)の起動
 
フォルダーを開くコマンドの例:
Exec=nautilus /path/to/folder
 または、
Exec=gio open /path/to/folder
 
Nautilusは、GNOME デスクトップ環境の標準ファイルマネージャー。
gioは、GNOME のコマンドラインツール。
 
違いの比較。
Exec=nautilus と Exec=gio open はどちらもファイルやフォルダーを開くために使用されますが、それぞれの違いは以下の通りです
 
 
 
3. フォルダーやファイルへのパスについて
 
開きたいファイルへのパスを調べるために、端末の「pwd」でカレントディレクトリを表示すると、次のように表示される(例)。
/run/user/1000/gvfs/smb-share:server=<NASサーバー名>.local,share=home/10 Webサイト資料/51 サイト分析資料/01 Search Connsole
 
 

 gvfsとは:
・GNOME Virtual File System (GVFS) は、GNOME デスクトップ環境で提供される仮想ファイルシステムです。
・ローカルファイルシステムとは異なるリソース(例えば、ネットワーク共有、クラウドストレージ、FTP サーバーなど)にファイルマネージャ(例: Nautilus)がアクセスできるようにします。
・パスの形式:/run/user/UID/gvfs/...

 
 

 /run/user/1000/gvfs/... のパスは
● GVFS によって動的に生成される仮想パスであるため、NAS がマウントされていないとショートカットで指定したパスが無効になる。
● /run/user/1000/gvfs/... パスは、ファイルマネージャ(例: Nautilus)が NAS に初めてアクセスした際に生成される。
● 再起動後、NAS の共有フォルダに一度でも手動でアクセスしないと、このパスは生成されない。

 
上記の理由で、「gvfsのパス」で作成したショートカットは、Ubuntuの稼働が継続中であれば動作するが、一旦、Ubuntu を再起動するとショートカットアイコンでは開けなくなる。
 
「Not a valid file.」というエラーメッセージで開けない。
「Not a valid file.」というエラーメッセージで開けない
 
 
解決策:NASを自動マウントする
● /etc/fstab の記述で、再起動時に NAS の共有フォルダを CIFS で自動的にマウントする設定を行い、
● ショートカットの Exec を、ローカルのパス(/mnt/nas)を利用するように変更する。
 
Before:
Exec=wps "/run/user/1000/gvfs/smb-share:server=<NASサーバー名>.local,share=home/10 Webサイト資料/51 サイト分析資料/01 Search Connsole/サイト別・日別 アクセス回数記録_new.xlsx"

After:
Exec=wps "/mnt/nas/10 Webサイト資料/51 サイト分析資料/01 Search Connsole/サイト別・日別 アクセス回数記録_new.xlsx"
 
※:パス上のフォルダー名やファイル名に空白がある場合、パス全体をダブルクォートで囲む。
Exec=wps "/run/user/1000/gvfs/smb-share:server=<NASサーバー名>.local,share=home/10 Webサイト資料/51 サイト分析資料/01 Search Connsole/サイト別・日別 アクセス回数記録_new.xlsx"

Exec=nautilus "smb://.local/home/10 Webサイト資料/13 IP107-Arakoki70資料"
 

 特殊文字の扱い
Exec
行内では、ダブルクォートで囲むことで空白や特殊文字(日本語や記号)を安全に扱えます。これにより、空白を含むパスも問題なく解釈されます。

 
 
 
4. 絶対パス(gvfs)での「デスクトップエントリ」作成例
 
起動したい Excelファイル があるフォルダーを開き、右クリックで表示されるメニューから「端末で開く」を選択する。
起動したい Excelファイル があるフォルダーを開き、右クリックで表示されるメニューから「端末で開く」を選択する
 
端末が開くので「pwd」と入力すると、カレントディレクトリが絶対パスで表示されるので、これをコピーする。
端末が開くので「pwd」と入力すると、カレントディレクトリが絶対パスで表示されるので、これをコピーする
 
デスクトップショートカットファイル作成例。
nano ~/Desktop/日別アクセス回数記録.desktop
 
修正例
[Desktop Entry]
Version=1.0
Type=Application
Name=日別 アクセス回数記録
Exec=wps "/run/user/1000/gvfs/smb-share:server=<NASサーバー名>.local,share=home/10 Webサイト資料/51 サイト分析資料/01 Search Connsole/サイト別・日別 アクセス回数記録_new.xlsx"
Icon=/usr/share/icons/hicolor/256x256/mimetypes/wps-office-xls.png
Terminal=false
 
デスクトップにショートカットが作成されるので、右クリックして「起動を許可する」。
デスクトップにショートカットが作成されるので、右クリックして「起動を許可する」
 
デスクトップに作成されたショートカットアイコンをダブルクリックして、NAS上の Excel ファイルが WPS Office で開くことを確認する。
デスクトップに作成されたショートカットアイコンをダブルクリックして、NAS上の Excel ファイルが WPS Office で開くことを確認する
 
 
 
5. NASの自動マウント要領
 
①.cifs-utils パッケージをインストールする
 
 

 CIFS (Common Internet File System) は、
ネットワークを介してファイルやプリンターを共有するためのプロトコルの一つです。Microsoft によって開発され、SMB(Server Message Block)プロトコルの一部または派生形と見なされています。

 
CIFS を使用するには、cifs-utils パッケージがインストールされている必要がある。
 
以下のコマンドを実行してインストールする。
sudo apt update
sudo apt install cifs-utils
 
CIFS モジュールの確認。
lsmod | grep cifs
 
CIFS モジュールの確認
 
コマンドを手動で実行して、設定が正しいかを確認する。
sudo mount -t cifs -o "username=xxxxxx,password=yyyyyyyyyy,uid=1000,gid=1000,iocharset=utf8,vers=2.0" //<NASサーバー名>.local/home /mnt/nas
 

コマンドを手動で実行して、設定が正しいかを確認する

ポイント:SMB プロトコルのバージョン「vers=2.0」を指定しないとうまくいかない。
 
成功していれば、/mnt/nas ディレクトリ内に NAS の共有フォルダが表示される。
ls -la /mnt/nas
 
成功していれば、/mnt/nas ディレクトリ内に NAS の共有フォルダが表示される
 
 
②./etc/fstab を編集し、自動的にマウントする設定を行う
 
/etc/fstab の編集。
sudo nano /etc/fstab
/etc/fstab を編集し、自動的にマウントする設定を行う
 
# NAS 自動マウント設定
//<NASサーバー名>.local/home /mnt/nas cifs credentials=/home/ubuntu/.smbcredentials,uid=1000,gid=1000,iocharset=utf8,vers=2.0,_netdev 0 0
 
ポイント1:「.smbcredentials」は、認証情報をファイルで指定。
ポイント2:SMB プロトコルのバージョン「vers=2.0」を指定。
 
password に記号が含まれている為、認証情報をファイル化する。
sudo nano /home/ubuntu/.smbcredentials
 
password に記号が含まれている為、認証情報をファイル化する
username=xxxxxx
password=yyyyyyyyyy
 
ファイルのパーミッションを設定する。
sudo chmod 600 ~/.smbcredentials
 
 
 
6. ローカルパス(/mnt/nas)への変更要領
 
.desktop ファイルの再作成。
sudo nano ~/Desktop/日別アクセス回数記録.desktop
 
ショートカットの Exec を、ローカルのパス(/mnt/nas)を利用するように変更して再作成する。
.desktop ファイルの再作成
[Desktop Entry]
Version=1.0
Type=Application
Name=日別アクセス回数記録
Exec=wps "/mnt/nas/10 Webサイト資料/51 サイト分析資料/01 Search Connsole/サイト別・日別 アクセス回数記録_new.xlsx"
Icon=/usr/share/icons/hicolor/256x256/mimetypes/wps-office-xls.png
Terminal=false
 
ポイント:Exec 行のパスを、自動マウントしたローカルパス(/mnt/nas)に変更。
 
ファイルを実行可能にする。
sudo chmod +x ~/Desktop/日別アクセス回数記録.desktop
 
再起動後、うまくいっていれば、/mnt/nas ディレクトリ内に NAS の共有フォルダが表示される。
 
 
 
7. NAS上のフォルダーを開く 「ショートカットアイコン」の作り方
 
「ファイル(Nautilus)」アプリで開きたい NAS上のフォルダーがあるディレクトリーを表示し、右クリックで表示されるメニューから「端末で開く」を選択する。
「ファイル(Nautilus)」アプリで、開きたい NAS上のフォルダーがあるディレクトリーで右クリックし、表示されるメニューから「端末で開く」を選択する
 
端末が開いたら「pwd」と入力し、表示されるカレントディレクトリの絶対パスをコピーする。
端末が開いたら「pwd」と入力し、表示されるカレントディレクトリの絶対パスをコピーする
 
コピーしたカレントディレクトリの絶対パスから、home 以下を下図のようにコピーして「Desktop Entry」を作成する。
コピーしたカレントディレクトリの絶対パスの home 以下を下図のようのコピーして、ショートカットファイルを作成する
 
「Desktop Entry」ファイルの作成。
nano ~/ Desktop/'IP107-Arakoki70資料'.desktop
 
.desktopの名前」は何でもよい。ショートカットアイコンが作成された時点で、Desktop Entry の Name 行で指定した名前に変更される。
但し、ここで記述する名前に空白がある場合は、シングルコーテーションで囲む。
 
作成した Desktop Entry の内容。
作成した Desktop Entry の内容
[Desktop Entry]
Version=1.0
Type=Application
Name=IP107-Arakoki70資料
Exec=nautilus "smb://<nasname>.local/home/10 Webサイト資料/13 IP107-Arakoki70資料"
Icon=folder
Terminal=false
<nasname>の箇所は、NASのサーバー名。
 
 

 smb:// は
●SMB/CIFS(Server Message Block/Common Internet File System)プロトコルを使用してネットワーク共有リソースにアクセスするためのスキームです。
●NAS をマウントせずに直接ネットワーク経由でフォルダを開く場合、smb:// プロトコルを使用します。
●smb://<サーバー名>/<共有名> または smb://<サーバー名>/<共有名>/<パス> の形式で指定します。
●スクリプトやショートカット作成では、互換性が高い smb:// を使用することを推奨します。

 

 

以上。
(2024.12.24)

 

 

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