Ubuntu パッケージ管理の仕組みと管理ツール

Ubuntu Desktop 22.04 LTS ノウハウ
Ubuntuでの パッケージ管理 その-1
パッケージ管理の仕組みと管理ツール 
 
Linuxに慣れ親しんできた者にとっては、ソフトウェアのインストールや削除など、「パッケージ管理」は「コマンド」を使用した方が手っ取り早いと感じている。が、近年「GUI」ベースのパッケージ管理システムが進化しており、使いやすくなってきたように思われる。しかし、進化の経緯を理解しないと納得が行かない点が多々ある。
 
パッケージをインストールする仕組み
 
以下、Ubuntu デスクトップにおけるパッケージ管理システムを理解すべく、現状の整理から始めることとした。
 
 

 

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1. パッケージをインストールする仕組み
 
Ubuntu PC に パッケージをインストールするには、パッケージの保管場所である【リポジトリ】から、パッケージをダウンロードして導入するという流れになる。この流れを担うソフトを【パッケージ管理システム】という。
パッケージをインストールする仕組み
 
リポジトリとは(ソフトウェアリポジトリとも呼ばれる。)
パッケージが保管されているHTTPサーバーであり、アプリ(ソフトウェアパッケージ)をインストールする際は、ここからパッケージをダウンロードする。
 
パッケージ管理システムとは(パッケージマネージャーとも呼ばれる。)
パッケージをインターネットなどを通じて取り寄せ、システムへの導入や削除、更新、必要な外部ソフトウェアの自動取得(依存関係の解決)などを行なうソフトウェアを言う。
 
Ubuntu のデスクトップ版にはこれらに加え、パッケージ管理を補助する
「ソフトウェアとアップデート」と「ソフトウェアの更新」と呼ばれるソフト
が、デフォルトで組み込まれている。
 
ソフトウェアとアップデートは、
Ubuntuで使用するリポジトリーの設定や、アップデート要領の設定を行うツール。
 
ソフトウェアの更新は、
インストールされたソフトウェアと関連するパッケージを、セキュリティパッチや推奨されるパッチのためにアップデートを行うツール。
ソフトウェアの更新を管理するソフトで、実体は「update-manager」。
 
 
 
2. 「ソフトウェアとアップデート」の役割と設定
 
ソフトウェアとアップデートは、パッケージ管理に於ける、
①.Ubuntuで使用するリポジトリーの設定
 → パッケージをダウンロードする、
   公式リポジトリと非公式リポジトリの設定。
②.導入済みパッケージのアップデート条件の設定
 → アップデート対象パッチやアップデートサイクル等の設定。
の、役割を担っている。
 
 
「Ubuntu Dock」から「アプリケーションを表示」をクリックし、「ソフトウェアとアップデート」を起動する。
「Ubuntu Dock」から「アプリケーションを表示」をクリックし、「ソフトウェアとアップデート」を起動する
 
 
「Ubuntu のソフトウェア」タブでの設定。
コンポーネントの種類
「Ubuntu のソフトウェア」タブでは、
 ・公式リポジトリからダウンロード出来る「コンポーネント」の種類と
 ・「ダウンロード元」のサーバーの場所が指定できる。
 
公式リポジトリとは(オフィシャルリポジトリとも言う。)
Ubuntuコミュニティによって、リリースごとにメンテナンスされたソフトウェアパッケージを提供するHTTPサーバーのこと。
 
コンポーネントとは(リポジトリの種類?)
Ubuntuの公式リポジトリには「22.04」などのリリースとは別に、「コンポーネント」という概念が存在し、パッケージは次の4つに区分され、それぞれをダウンロードの対象にするかどうかを設定する。
 
main:Canonicalによってサポートされるフリー/オープンソースソフトウェア。
universe:コミュニティによってメンテナンスされるフリー/オープンソースソフトウェア。
restricted:デバイス用のプロプライエタリなドライバ。
multiverse: 著作権もしくは法的な問題によって制限されたソフトウェア。
 
カノニカル(Canonical Ltd.)とは
Ubuntuの支援及び開発援助のために、マーク・シャトルワース(Ubuntu Linux の生みの親)が設立した英の企業で、Ubuntu 22.04 LTS は Canonical によって提供されている。
 
後述の「snapパッケージ」は、CanonicalとUbuntuコミュニティが開発・推進している「ユニバーサルパッケージ」となっている。
 
Universal Packageとは
Linuxのディストリビューションに依存しないパッケージの俗称。
 
 
「他のソフトウェア」タブでの設定。
「他のソフトウェア」タブ
「他のソフトウェア」タブでは、リポジトリを追加することが出来る。
公式リポジトリのソフトウェアは、サポート中のリリース版を使っている限りバージョンが上がることはない。より新しいバージョンのソフトウェアをインストールしたい場合には、「PPA(Personal Package Archive)」 を初めとした 「独自リポジトリ」の追加が必要となる。
 
PPA(パーソナル・パッケージ・アーカイブ)とは
非公式のレポジトリで、Ubuntuの公式レポジトリからはダンロードできないソフトウェアや最新のバージョンのソフトウェアを手に入れることができる。
 
 
「アップデート」タブでの設定。
「アップデート」タブ
「アップデート」タブでは、
①.「その他のパッケージの確認対象」すべてのアップデート「⁠セキュリティ&推奨アップデート」「⁠セキュリティアップデートのみ」から選択できる。
②.「アップデートの自動確認」毎日「⁠2日ごと」「⁠毎週」「⁠2週間ごと」「⁠なし」から選択できる。
③.「セキュリティアップデートがあるとき」「すぐに表示」「⁠ダウンロードを自動的に行う」「⁠ダウンロードとインストールを自動的に行うから選択できる。
④.「その他のアップデートがあるとき」「すぐに表示」⁠1週間ごとに表示「⁠2週間ごとに表示」から選択できる。
⑤.「Ubuntuの新バージョンの通知」「すべての新バージョン」⁠長期サポート(LTS)版「なし」から選択できる。
 
 
「ソフトウェアとアップデート」を終了する時点で、キャッシュされているリポジトリのパッケージ情報が古くなっていると、次の画面が表示されるので「再読込」をクリックする。
「利用可能なソフトウェアの情報が古くなっています」と表示されるので、「再読込」をクリックする
 
キャッシュされているパッケージ情報が更新される。
ソフトウェアのキャッシュが更新される
 
 
【PPA】リポジトリの追加要領
 
「他のソフトウェア」タブの左下にある「追加」をクリックする。
「他のソフトウェア」タブを開き、「追加」をクリックする
 
APTラインに、追加したいリポジトリ(例:「libreoffice」)の【PPA】の場所「ppa:libreoffice/ppa」を入力し、「ソースを追加」をクリックする。
APTラインに、「libreoffice」の【PPA】の場所「ppa:libreoffice/ppa」を入力し、「ソースを追加」をクリックする
 
リポジトリ(例:「libreoffice」)の【PPA】リポジトリが追加されるので、「閉じる」をクリックする。
「libreoffice」の【PPA】リポジトリが追加されるので、「閉じる」をクリックする
 
「利用可能なソフトウェアの情報が古くなっています」と表示されるので、「再読込」をクリックする。
「利用可能なソフトウェアの情報が古くなっています」と表示されるので、「再読込」をクリックする
 
 
 
3. 「ソフトウェアの更新」の役割
 
「ソフトウェアの更新」を起動すると、 インストールされているソフトウェアと関連するパッケージをアップデートすることが出来る。
 
「Ubuntu Dock」から「アプリケーションを表示」をクリックし、「ソフトウェアの更新」を起動する。
「Ubuntu Dock」から「アプリケーションを表示」をクリックし、「ソフトウェアの更新」を起動する
 
アップデートがあると「アップデートの詳細」に対象のパッケージが表示されるので、「今すぐインストールする」をクリックする。
libreofficeのコンポーネントが「アップデートの詳細」に表示されるので、「今すぐインストールする」をクリックする
 
ソフトウェアの更新が始まる。
ソフトウェアの更新が始まる
 
ソフトウェアの更新が完了する。
ソフトウェアの更新が完了する
 
 
 
4. 「リポジトリ」について
 
Ubuntu のデスクトップ版には、リポジトリとして「aptリポジトリ」と「Snap Store」が、パッケージ管理システムは「Ubuntu Software」が、それぞれデフォルトで組み込まれている。

Ubuntu のデスクトップ版には、リポジトリとして「aptリポジトリ」と「Snap Store」が、パッケージ管理システムは「Ubuntu Software」が、それぞれデフォルトで組み込まれている
 
・aptリポジトリからダウンローされるパッケージは、debパッケージ
・Snap Storeからダウンローされるパッケージは、snapパッケージ
と言う形式になっている。
 
debパッケージとは
「.debファイル」で提供されるソフトウェアで、Debian、Ubuntuなど多くのLinuxディストリビューションで利用されるバイナリのパッケージのこと。
 
バイナリのパッケージとは
インストールするために必要なファイルやコンパイル済みのソフトウェアを1つにまとめたもの。
 
Snap Storeとは
snapパッケージを配布するリポジトリサービスを「Snap Store」と呼ぶ。
 
snapパッケージとは
特定の Linuxディストリビューション(UbuntuやFedora等)の専用パッケージではなく、様々な Linxuディストリビューションにインストールができるパッケージ形式で、同じファイルからインストールされる。
パッケージ管理システムとしての名称は「Snappy」という。
 
snapパッケージを利用するには「snapd」が必要だが、Ubuntuにはデフォルトで snapd がインストールされている。
 
snapパッケージはdebパッケージと共存可能で、あるアプリケーションをインストールする際に、snapパッケージとdebパッケージの両方をインストールしても問題はない。
 
 
 
5. 「パッケージ管理システム」について
 
Ubuntu Software (旧:Ubuntu ソフトウェアセンター)は、
リポジトリの情報を読み取って、ソフトウェアの表示や、アップデートの確認などが行える GUI方式の「パッケージ管理ソフト」で、「公式リポジトリ」と「Snap Store」双方のリポジトリが扱える。
 
「CLI」方式で「コマンド 」を使って「パッケージ管理」を行うこともできる。
 
aptリポジトリの場合:aptコマンド を使う。
APT (Advanced Packaging Tool)パッケージ管理システム

Debian ベースの Linux ディストリビューションで使用されるパッケージ管理システムで、apt-get、apt-cacheなどの「aptコマンド」で構成されている。
 
Snap Storeの場合:snapコマンド を使う。
snap パッケージをインストールするには、「snapコマンド」 を使用する。
 

 

以上。
(2023.08.09)

 

 

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